中小PMIはM&Aによる事業の統合によって、企業が持続的に成長できるようにすることを目指します。
中小PMIは一般的なM&A成立時をDAY.1として、100日後までのプランを立てて進める仕組みとは異なります。
中小企業がM&Aを成功させるためには広い視野を持って事前、事後までPMIに取り組むことが重要です。
第2回目となる今回は、中小PMIの全体像と進め方について解説します。
中小PMIの全体的な流れ
中小PMIではM&Aが成立してから取り組むPMIだけでは十分ではありません。
スムーズにPMIを開始できるように、事前からPMIの計画について協議することで成功の確率が高まります。
また、M&Aの基本プロセスが終わった後も、今後の計画を立てて長期的に持続成長を続けられることを目指すのが重要です。
中小企業がM&Aをするときに、成功率を上げられる取り組みの全体的な流れは以下の通りです。
- プロセス1M&Aの検討
- プロセス2プレPMI
- プロセス3M&A成立
- プロセス4PMI
- プロセス5ポストPMI
M&Aの初期検討は、中小企業かどうかにかかわらず不可欠なプロセスです。
しかし、中小企業ではM&Aが成立する前のプレPMIと、集中実施期を過ぎた時期のポストPMIも重視することが欠かせません。
それぞれの企業の強みからシナジーを生み出し、新たな企業として成長していくためにはプレPMI・ポストPMIも含めて検討することが必要です。
特に譲渡側の中小企業は自社の技術やビジネス、従業員を生かせるようにするために重要になります。
中小PMIの進め方のポイント
中小PMIを成功させるには、譲受側と譲渡側が寄り添って初期検討の時点から詳細を相談して進めていくのが重要です。
中小企業がM&Aを成功させるためのPMIの進め方をステージごとに見ていきましょう。
M&Aの検討
M&Aをする際には譲受側も譲渡側も課題を持っています。
M&Aによって達成したい目的が合うのかどうかを検討するのがまず重要です。
M&Aには「持続型M&A」と「成長型M&A」の2種類があります。
持続型M&Aは経営が厳しくなった中小企業がM&Aによって事業を存続させ、従業員の雇用も保つのが主な目的です。
一方、成長型ではシナジーを生かして持続的に事業を成長させていくことを目指してM&Aをおこないます。M&Aの形としては理想的で、特に譲受側が重視しているM&Aのあり方です。
検討段階では譲渡側と譲受側で目的意識のずれが起こりやすいので、M&Aの成功を定義して協力する関係を整えるのが大切です。
目的が合わない場合には他のM&A先を検討するのが無難です。
プレPMI
プレPMIはM&Aについての基本合意ができた段階から始める事前準備です。
M&Aが成立したら本格的にPMIを進めるのを前提として、譲渡側と譲受側が協力することが求められます。
譲受側はM&Aによるリスクを考慮してデューデリジェンス(DD)の調査をします。
財務DD、法務DD、環境DDなどのさまざまな観点から調査することは大切なことです。
譲渡側は譲受側からすべての情報が開示されるとは限らない点に留意し、M&A後に何をしなければならないかを整理することが重要です。
PMI
M&Aが成立したらPMIの集中実施期に入ります。
PMIの推進体制を整えて、企業を統合するための取り組みを進めていきます。
推進体制の構築では意思決定、PMI推進、実務作業という役割を分担して、それぞれの企業から譲受側の経営者を含めてメンバーを揃えるのが基本です。
現状把握を徹底して課題を洗い出し、具体的な取り組み方を検討して計画的に対応していきます。
目安として1年間で統合を成功させるための計画を立ててPMIに取り組みます。
重要度や緊急性、実行可能性などを考慮して、優先順位の高い取り組みを早期実行するのがPMIの基本です。
ポストPMI
中小PMIでは集中実施期に当たるM&A成立後の1年間の結果を踏まえて、継続的にポストPMIで改善を図っていきます。
ポストPMIは当初想定されていなかったミスマッチの改善や、より良い統合のあり方の検討のために重要なPDCAプロセスです。
当初のM&Aの目的に合う結果が得られたかどうかを確認し、今後の戦略を考えて取り組んでいきます。
M&A後にシナジー効果が思ったように得られなかったときでも、1年間の取り組みを振り返ると新たな可能性を見出せるでしょう。
PDCAを数年間にわたって繰り返していくポストPMIをすることで、M&Aの効果を最大限まで引き出すことができます。
まとめ
中小PMIでは検討段階での協議から始まり、プレPMIを経て本格的なPMIを進めるのが基本です。
M&Aは目的を達成するのが重要なので、M&Aの成功を定義して検討段階から相手企業とのすり合わせをしましょう。
PMIは1年を目安にして計画を立てて取り組み、さらにポストPMIを数年間にわたって実施して、M&Aの効果を最大化するのが大切です。
このような全体計画を初期検討の時点から協議して、協力しながらPMIを進めていくと中小PMIを成功させることができるでしょう。