PMIで組織の統合で生じる課題を解決する方法

人事

M&Aでは組織を統合させることが必要になりますが、契約をした段階で一度に組織を統合することは困難です。

PMIの段階で組織統合を進めていく必要があります。

ただ、組織の統合は課題が多く、M&Aの失敗につながるリスクがあるので対策が必要です。

この記事ではPMIにおける組織統合の課題解決の方法を解説します。

PMIにおける組織統合で生じる課題

PMIで譲受側と譲渡側の組織を統合するときには常に課題が発生します。

ここでは典型的な課題を具体的に紹介します。

譲受側と譲渡側の組織体制・組織構造が合わない

M&Aでは譲受側と譲渡側の組織体制や組織構造が異なっていて、そのままではグループとして経営するのが難しいという問題があります。

両社の組織を見直し、シナジー効果を生み出せる組織体制・組織構造を構築することが課題です。

企業が培ってきた組織を解体することになるため、管理職にも従業員にも大きな衝撃が走ります。

その影響も加味して計画的なPMIによる組織改革を進めなければなりません。

組織文化の違いによって軋轢が生じる

PMIでは、組織文化の違いに配慮して組織改革を進めることが課題です。

異なる組織文化を持っている二社が一つの組織となるには、お互いの文化を尊重することが必要です。

組織文化の違いによって、譲受側と譲渡側の従業員の間に軋轢が生まれるリスクがあります。

また、組織構造の変化によって上司・同僚・部下の関係が変わったことに不満を抱く人も出てくる場合あります。

組織のあり方が変わると教育研修にも変化が起こるのが一般的です。

教育研修の制度や、内容の変化によって不満が生じることも少なくありません。

M&A後の組織経営への転換が難しい

経営者もM&Aによって、新しい組織経営への転換ができずに苦しむ場合があります。

ワンマン経営から組織経営への切り替えでは、経営の考え方も大きく変わるからです。

経営者が経営体制の変化に慣れるためのPMIも必要になります。

ワンマン経営から組織経営に転換すると従業員の業務フローも変わります。

大きな変革による影響で従業員のストレスも大きくなるため、PMIで柔軟に対応することが不可欠です。

M&AのPMIで組織統合に成功するコツ

M&Aで組織統合を成功させるにはPMIで取り組むべきポイントがあります。

ここではPMIを通して組織統合を進めるコツを紹介します。

プレPMI段階で相互の組織を確認する

PMIで組織統合を成功させるためには、プレPMIの段階で譲受側と譲渡側の組織の違いを確認して整理することが重要です。

PMIはその違いを埋める組織改革を進めることを目標とすれば統合できます。

抜本的に新しい組織を生み出して成功できれば理想的です。

しかし、ギャップを埋める組織改革の方が変化が少なく、経営者も従業員も順応しやすくなります。

デューデリジェンスを実施する

譲受側は譲渡側のデューデリジェンスを実施しましょう。

組織についてのデューデリジェンスは人事や労務なども多岐にわたっています。

網羅的に調査してM&A前にリスクを明確にしておくことで、組織統合のあるべき姿やPMIの実施計画を立てやすくなります。

M&A後の事業に最適な組織体制を考案する

M&Aによって事業革新をする場合には、事業を推進するのに最適な組織体制をあらかじめ考案しておくことが重要です。

PMIの初期には両社のギャップを埋める組織統合を進めていき、最終的にはグループとして価値を生み出しやすい組織を構築することを計画しましょう。

組織内の情報共有システムを確立する

PMIの初期から取り組む必要があるのが情報共有システムの導入です。

譲受側と譲渡側の組織を統合するためには、相互コミュニケーションが必要になります。

両社の拠点が異なっているとコミュニケーションの機会が少なく、お互いの組織文化を理解できない状況が続きます。

情報共有システムを整えてコミュニケーションの機会を増やすことが大切です。

ポストPMIで完成形を目指す

PMIの段階では組織の完成形に到達することは容易ではありません。

PMIでは組織統合を果たすことを目標として、ポストPMIで理想を追求しましょう。

当初想定していたM&A後の理想の組織体制は、両社が相互理解を深めてから一丸になって取り組むのが効率的です

そのための下地としての組織づくりをPMIの段階で達成しましょう。

まとめ

PMIでは組織統合による経営者や従業員のストレスを軽減し、スムーズに組織の体制・構造・文化を統一することが大切です。

プレPMIの段階で譲受側と譲渡側の組織の違いを明確化し、ギャップを埋めるように統合を進めましょう。

そして、M&A後に最適な組織体制を考案し、ポストPMIまでかけて段階的に完成させていくのが成功のコツです。

両社でのコミュニケーションを促して文化交流を進め、組織統合を支えることも忘れないようにしましょう。

この記事を書いた人

中小企業診断士。慶應義塾大学環境情報学部卒。「DXと地域貢献」を理念とし、中野区・新宿区を中心とした中小企業経営相談や経営セミナーを実施。近年PMIの重要性を肌で感じ本事業に参画。

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コメント

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