システム統合の進め方は?手順とポイントを詳しく解説!

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システム統合はM&Aで重要な取り組みの一つですが、具体的な進め方がわからずに悩むこともあるでしょう。

PMIの段階になって進め方を決められずに困るケースもあります。

この記事ではM&Aにおけるシステム統合の手順とポイントを詳しく紹介します。

システム統合の進め方の手順

システム統合は、手順に従って進めていくとトラブルが起こるリスクを最小限にできます。
ここではM&Aにおけるシステム統合の進め方の手順を解説します。

システム統合で実現したい目標の設定

M&Aの目的には譲渡側の事業を承継することに加え、企業規模を拡大し生産性を向上することもあります。
生産性を向上するために、システム統合は避けて通れない道です。

譲受側と譲渡側では業務のやり方やデータ管理のやり方などが異なります。譲受側と譲渡側のビジネスを統合し、生産性を向上し、強みを生み出すには、業務のやり方やデータ管理のやり方を一本化する必要があります。

業務のやり方やデータ管理のやり方を統合する方針を決め、その方針に沿った、システム統合の目標を設定します。業務と切り離して、システム統合の目標を決めても、統合後の業務がうまく回りません。業務の統合の方針を決め、その方針に沿ったシステム統合の目標を設定することがポイントです。

システム統合の目標は、PMIの前に両社で協議し合意しておくとよいでしょう。

統合後のシステムの要件定義

システム統合の目標を達成するために、新たにシステム化する業務や統合したデータ管理のやり方に応じて、統合後のシステムに必要な機能をリストアップします。
業務の要件を決めてから、システムの機能の要件を決めるのがポイントです。
業務の要件を決めずに、システムの機能の要件を決めてしまうと、業務に必要な機能が具備されなかったり、逆に使わない機能が具備されていたり、といった残念な結果になってしまいます。

システムの機能の要件とともに、かけられるコスト面についても決めておくとよいでしょう。

譲受側・譲渡側のシステム化範囲と構成の把握

譲受側と譲渡側では、当然、システム化の範囲やシステム構成は異なります。
両社の既存の業務システムや、ITインフラの構成を把握しておきましょう。

システム統合方法の選定

システム統合には方法が2種類あります。一方が使用しているシステムに片寄せする、または新しいシステムを導入するという方法です。

両社で利用しているシステムを連携させるという方法もありますが、生産性を向上するという効果を出しにくいばかりか、両社のシステムの親和性が高い場合を除いては、新しいシステムを導入するよりもコストがかかるケースもあり、お勧めしません。

2つのうち、どちらの方法を選択するかは、システム統合の目標の達成度合いとコストとの兼ね合いで判断するのがよいでしょう。

システム統合のスケジュール策定

統合後のシステムが決まったら、スケジュールを策定して導入を進めていきます。

テストをして業務への適合性を確認する時間や、新しいシステムに従業員が習熟するための時間もスケジュールに織り込みましょう。

その他のポイント

ここまでシステム統合の手順とポイントを紹介しましたが、その他のポイントもいくつか紹介します。

プレPMI時点から協議を開始する

システム統合は、プレPMIのときから協議を始めるのがよいでしょう。

システム統合の目標や必要な予算、期間などは、プレPMIの段階から両社間での擦り合わせをしておきましょう。

DXを意識する

システム統合は、生産性を向上するだけでなく、それまで実現できなかった業務変革の良い機会になりますので、自社のDXを加速する機会と捉えましょう。

「クイックヒット」を計画する

システム統合は、最終的に従業員の業務負担が減ることにつながりますが、統合直後は、業務のやり方が変わるため、従業員にストレスがかかります。

「クイックヒット」と言われる、短期的に効果が出る施策を計画し、システム統合の効果をすぐに従業員に実感してもらえるようにしましょう。

まとめ

システム統合は、あくまで手段ですので、システム統合で実現したい目標を設定してから始めることが大切です。

システムの機能は、業務要件を満たすことが要件になります。業務要件を定めてから、システムの機能要件を検討しましょう。

システム統合をDX加速の機会と捉え、それまで実現できなかった業務変革を実現しましょう。

システム統合は、一時的に従業員にストレスがかかります。「クイックヒット」を計画し、システム統合の効果をすぐに従業員に実感してもらえるようにしましょう。

この記事を書いた人

合同会社TAMパートナーズ代表社員。中小企業診断士。ITコーディネーター。大手IT企業において、IT導入のPMや事業戦略策定や新規事業開発などを30年に渡って経験。ITの知見と、組織統合におけるマネージメント経験を活かし、中小企業のPMIサポート事業を展開。

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